地獄を描く/良ロジャ リウ協会 続きを読む 彼女の纏う炎は、普段の彼女のように、皆を包み込むような優しく生ぬるいものではない。頬を撫ぜるだけで皮膚を焼き、骨肉を灰燼に帰すような、より鮮烈で、煌々としていて、苛烈なそれ。猛る火の粉を撒き散らす戦場は、まさに彼女の独壇場だ。その中心で、熱風に踊る髪が焦がれることすら気に留めることなく――まあ、どうせ後ほど高い声でキイキイ喚くのだろうけれど――身を躍らせていた。 肺腑を満たした煙を深く吐き出す。ふいと持ち上げた指先、紫煙をくゆらせていた煙草で彼女の輪郭をなぞっていく。決して短くはない時間、まるで眼前の光景を網膜に焼きつけるかのごとく――刹那の瞬きすら、あまりに惜しい。 自ずと口角が歪む。 「――芸術だな」 独り言ちた呟きは、猛火によってかき消されていった。 畳む #LCB49 #リウ協会 2024.7.10(Wed) 23:42:51 LimbusCompany,文 edit
リウ協会
彼女の纏う炎は、普段の彼女のように、皆を包み込むような優しく生ぬるいものではない。頬を撫ぜるだけで皮膚を焼き、骨肉を灰燼に帰すような、より鮮烈で、煌々としていて、苛烈なそれ。猛る火の粉を撒き散らす戦場は、まさに彼女の独壇場だ。その中心で、熱風に踊る髪が焦がれることすら気に留めることなく――まあ、どうせ後ほど高い声でキイキイ喚くのだろうけれど――身を躍らせていた。
肺腑を満たした煙を深く吐き出す。ふいと持ち上げた指先、紫煙をくゆらせていた煙草で彼女の輪郭をなぞっていく。決して短くはない時間、まるで眼前の光景を網膜に焼きつけるかのごとく――刹那の瞬きすら、あまりに惜しい。
自ずと口角が歪む。
「――芸術だな」
独り言ちた呟きは、猛火によってかき消されていった。
畳む
#LCB49 #リウ協会